• 院長の紹介
  • 診療所のご案内
  • 肛門の専門医とは
  • 関連リンク
  • 交通アクセス

「臨床肛門病学」の創刊にあたって(抜粋)

肛門疾患は、極めて日常的で頻度の高い疾病であり、外科領域では安易に取り扱われてきた。また、進歩発展してきた今日の最新医療の中で学問として正確に注目されたことは余りない。その点について、以前から多くの肛門科の専門医の間で論じられてきたが、大きな原因は医学教育や卒後研修の中で「肛門病学」が体系立てられていない点のみならず、「肛門病学」の存在すら認められていない点にあると考えられる。最近、厚生労働省に至っては「肛門科」の標榜の存続すら認めず、「肛門外科と名乗れ」と信じられない判断を下したのである。しかも、学会(日本大腸肛門病学会)としても「大腸肛門病専門医」という殆ど現場では役に立たない、また患者にとって理解し難い専門医制度を制定してしまったのである。

私自身、日本大腸肛門病学会には大変お世話になり、10数年間の編集委員と9年間の理事を経験させて頂いた。また、その3年間の教育委員長も努めさせて頂き感謝している。しかし、実に空しい気持ちが残っている。私の努力不足もあろうが、日常診療の中で「肛門病学」の大切さや「肛門科」の必要性および消化器外科学とは異質であることを外科や内科の先生たちに正確に伝えることができなかったし、理解して頂けなかったように思える。

肛門病の治療は、外科に特化したものではない。内科でも、産婦人科でも、皮膚科でも、時には形成外科も関ってくる疾患である。したがって、肛門外科や肛門内科などではない「肛門科」が必要なのである。

「臨床肛門病学」という雑誌は、7・8年前から計画していたものであるが、今回、関西で活躍している肛門科の専門医たちが中心となって、肛門疾患を扱う全ての先生方にメッセージを送るつもりで産声を上げることにした。創刊号は必ずしも高邁な内容ではなく稚拙ではあるが、日本で本当の「肛門病学」を根付かせるための一助になれば幸いである。

2009年8月

近畿肛門疾患懇談会 代表世話人
「臨床肛門病学」編集委員長 黒川 彰夫

院長の紹介に戻る